マンションの近隣住民の生活音が気になって寝付けない。イライラする。
マンションでよくある近隣トラブルです。
こういった騒音トラブルって、管理会社に頼んだら、何とかしてもらえるんでしょうか?
私は分譲マンションで執拗な騒音クレームに遭い、ほとほと困った経験があります。
この時、マンション管理会社にも相談して結果的に何とか収まりました。
トラブル対応になれているマンション管理会社に相談しない手はないです。
この記事では、マンション騒音トラブルを管理会社に相談するメリットやデメリットを説明します。
騒音トラブルはマンション管理会社の責任になる?
そもそも、騒音って誰の責任なんでしょう?
騒音主?
マンションの管理会社?
騒音マンションを選んでしまった自分?
賃貸マンションに適用される法律
法律的な解釈だと、賃貸マンションでは管理会社や大家に騒音の「一部」責任があります。
賃貸マンションはお金を払って借りているので、民法や借地借家法が適用されます。
その中で重要なのが以下の一文です。
民法 第601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
つまり、大家には法律上、賃貸マンションの住民を「使用収益させる義務」があります。
使用収益させる義務
「使用収益」って聞きなれない言葉だけど、ざっくり言うと「住民が普通の生活ができるよう配慮する」こと。
例えば、トイレの水が流れなかったり、玄関の鍵がかからなくなったりしたら、住居として生活ができないですよね。
夜、眠れないほど大きな騒音が出ているのも同じで、日常生活に困ってしまう。
壊れたトイレや玄関を直さないのと同じで、大きな騒音をほったらかしにするのは、住民の生活に配慮できていないことになります。
全日本不動産協会のサイトにも、管理会社の使用収益させる義務とはどんなことか、書いてあります。
アパートにおける騒音クレーム – 不動産Q&A(全日本不動産協会)
このように、人の住居として使用収益する以上、夜中に安眠できない様な状態を放置することは、賃貸人が使用収益させる義務を果たしたとは言えない可能性があります。
マンション管理会社が対応してくれる騒音トラブル
よかった!じゃ、騒音は全部、管理会社に丸投げでいいんだ!
残念ながら、騒音の全部が全部、マンション管理会社の責任ってことにはなりません。
具体的に言うと、以下の2つは原則としてマンション管理会社の責任の範囲外です。
- 生活音の範囲内の騒音
- マンション区分所有者が受けている騒音
生活音の範囲内の騒音
騒音が「生活音の範囲」なら、管理会社は対応する義務はありません。
マンションはたくさんの人が住む共同住宅なので、構造上、生活騒音ゼロは不可能ですよね。
だから、「使用収益させる義務」があるとはいっても、普通の生活騒音の範囲内ならマンション管理会社の責任ではありません。
マンション区分所有者が受けている騒音
マンションを買ってしまった人(区分所有者)の場合も、マンション管理会社の責任にすることはできません。
賃貸じゃないから、「使用収益させる義務」とか「借地借家法」は適用外です。
といいつつ、分譲マンションでも管理会社は騒音トラブルに対して、何もしてくれないわけではありません。
自分が以前住んでいた分譲マンションでは、管理会社が騒音トラブルの相談に乗ってくれたり、騒音注意の張り紙をしてくれたりしてました。
ただし、分譲マンションでは「マンション管理会社に騒音への対応義務はなくサービスとして行っている」ことは覚えておいてください。
マンション管理会社に対応義務がある騒音とは?
次に、マンション管理会社が対処しないといけないレベルの「騒音」とは、どれくらいなんでしょうか?
どれぐらいの音が「生活音」で、どれくらいの音が「生活音」を超えるのでしょうか?
騒音の基準
実は、生活騒音を取り締まる法律はありません。
その代わり、騒音の基準として「環境基準」や自治体の「環境条例」が制定されています。
騒音トラブルの裁判では、音の大きさが基準値(デシベル値)を越えているかどうかで、生活騒音かどうかを判断しています。
つまり、騒音の基準としては「環境基準」と住んでいる地域の「環境条例」になります。
騒音の測定
環境基準を超えている騒音なら、マンション管理会社に対応を求めることが可能です。
ただしそのためには「騒音の証拠」が必要です。
マンション管理会社に強く訴えたいときは、まず騒音の大きさを騒音計で正しく測定しましょう。
マンション管理会社の騒音トラブルへの対応
騒音の苦情をマンション管理会社に言ったら、管理会社は何をしてくれるの?
マンション管理会社が騒音トラブルに対して行うことは、基本的に以下の3つです。
- マンション全体への注意喚起
- 騒音主への注意喚起
- 騒音主の親や会社への注意喚起
マンション全体への注意喚起
マンションの掲示板に騒音注意の張り紙を張ったり、各住戸に手紙を入れたりしてくれます。
管理会社にお願いしたら、たいていやってくれるでしょう。
なお、張り紙の印刷や投函もすべて管理会社にお任せでOKです。
騒音主への注意喚起
マンションの管理会社が騒音主に直接連絡を取ってくれます。
事実確認したうえで、生活音に配慮するよう、依頼します。
騒音主の親や会社への注意喚起
騒音主の保証人になっている親や親戚へ連絡して注意します。
マンション管理会社からの電話に出ない騒音主の場合に効果的です。
これができるのはマンション管理会社や家主だけですよね。
マンション管理会社に言って効果があるのか?
騒音トラブルが発生すると、マンション管理会社は関係者に注意喚起してくれます。
でも、「そんなので効果あるの?」って疑問に思いますよね。
それぞれの施策の効果を解説します。
マンション全体への注意喚起
生活音注意の張り紙は、結局、相手次第なところが多いです。
物わかりのいい人なら、張り紙だけで収まります。
また、張り紙に書く内容によっても効果は変わります。
騒音主への注意喚起
管理会社が騒音主へ直接連絡しても改善されないことが多いです。
というのも、担当者がまた聞きで伝えていて、相手に正確に伝わらないから。
相手も騒音を否定して、長いやり取りが延々と続く、というのが良くあるパターンです。
「うるさい」「うるさくない」は感覚なので話し合っても結論が出ません。
騒音計で測定した証拠とかがあれば、話が進みやすいです。
騒音主の親や会社への注意喚起
誰しも自分の生活行動が親にバレるのは、かなり恥ずかしいでしょう。
だから、親や会社への注意喚起は効果があります。
ただ、親も騒音主と同じく、生活態度を改めないような性格だとしたら、もはや絶望的です。
マンション管理会社が騒音トラブルに対応してくれないときは
マンション管理会社によっては、住民トラブルに対応してくれないことがあります。
そんなときは、もう自分が積極的に動くしかありません。
具体的には、相手に手紙を出したり、直接クレームを言ったりする。
クレームの手紙には成功パターンがあるので、まずは手紙をおススメします。
まとめ:マンション管理会社に騒音トラブルを相談していい
以上、マンション騒音は管理会社に相談するべきかどうか、解説しました。
賃貸マンションの管理会社には「使用収益の義務」がある上、騒音主の親や会社の連絡先まで知っています。
この2つを利用しない手はありません。