分譲マンションで近隣住戸からの騒音に悩んでいる。誰に苦情を言えばいいの?
こんな悩みを解決します。
私は、新築分譲マンションで経験した騒音トラブルがきっかけで、騒音問題についての情報発信をしています。
音が気になりだすと、ちょっとしたことでイライラするようになったり、眠れなくなって仕事や勉強に影響が出たりしますよね。
「何でこんなに大きな音を立てるの?」
「もう寝る時間なんですけど!」
でも、冷静になることがとにかく大切。騒音トラブルは「感情的になったほうが負け」です。
この記事では、分譲マンションの騒音の苦情を誰にどのように伝え、トラブルを解決するのがいいのか、解説します。
分譲マンション騒音問題の相談相手はだれ?
賃貸マンションでは「マンション管理会社」が騒音トラブルの相談先です。
では分譲マンションでの騒音トラブルも、相談先は「マンション管理会社」なのでしょうか?
騒音トラブルは「当事者で解決」が原則
まず大原則として、騒音トラブルは当事者間で解決するものです。
えっ!自分でやらなきゃいけないの!?こっちは被害者だよ!
その気持ち、分かります。
でもその気持ちを変えたほうが、物事が進みやすくなります。
まず音を「うるさい」と感じるも感じないも、個人差があります。
自分の生活パターンもあれば、相手の感覚や考えもあります。
このように、人それぞれ感覚が違うからこそ、騒音トラブルの解決は難しい。
誰かに丸投げしたら自分の納得がいく結果になるはずがない。
他人任せにせず、自分から積極的に解決へ動きましょう。
最初の相談相手は「マンション管理会社」
当事者間で解決するのが原則とはいえ、誰かに相談するなら「マンションの管理会社」がいいでしょう。
なぜなら、マンションの管理会社は他の居住者からの騒音クレームが集まった「騒音データベース」的存在だから。
これを利用しない手はありません。
分譲マンション管理会社への騒音苦情の伝え方
管理会社は「騒音のデータベース」を持っている。
そう考えると、管理会社とどう付き合っていけばいいか、分かってきませんか?
まず、管理会社に何を聞けばいいかを説明します。
建物の騒音?住民の騒音?
分譲マンションなのに、結構周りの音が聞こえる。
いい物件を購入したはずなのに、期待外れなところがありますよね。
さてこの騒音、「建物の問題」なのか「住民の問題」なのか、どっちなんでしょう?
いったん整理してみましょう。
原因 | 騒音の例 |
---|---|
(A)建物 | 床衝撃音性能が低い 水の音による騒音 共有設備の音 |
(B)住民 | 家中を走り回る音 勢いよくドアを閉める音 |
(A)建物の問題
マンションの床衝撃音性能が低いなら、そもそも音が響きやすい建物ということになる。
水道管を流れる水の音による騒音(ウォーターハンマー現象)や、エレベータなど共有設備の音が住戸に聞こえることもある。
防音性能が比較的高い分譲マンションでも、話し声や外の音が聞こえない代わりに、マンション内の別の音が目立って聞こえる。
こういった騒音は「建物」が原因です。
(B)住民の問題
家中を走り回ったり、勢いよくドアを閉めたりする。
早朝・深夜でもお構いなし。
こういった自己中心的で、他の住民に配慮しない生活をとっているなら、住民の問題です。
なので、管理会社にはまず「悩んでいる音がマンションの建物に関するものか」を確認しましょう。
で、建物が原因と分かったら、マンション管理会社やマンション建設会社に改善を求めていくことになる。
建物が原因じゃないなら、住民の生活マナーの問題ってことになる。
こうやって一歩一歩、解決に向けて進んでいきます。
他の住民も迷惑している?
一人で戦わないといけないのがマンションの騒音トラブル。
仲間がいたほうが心強いですよね。
じゃあ、同じように騒音で悩んでいる人はいるのか、いないのか?
これを管理会社に聞いてみましょう。
建物が原因なら他の住戸でも音が聞こえているはず。
なので「同じような騒音クレームって来てますか?」って聞けばいい。
また、住民のマナーの問題だとしても、他の住人からも同じ住民へクレームが来てるかどうか、聞いてみる。
教えてくれるかはわからない。でも聞いてみる。
「他の方からも苦情が来てます」ならラッキー!
騒音の被害者が何人もいるなら、改善を求めるにしても、訴訟を起こすにしても結構な力になる。
「1対1」が「多対1」になるわけだから。
分譲マンションでも騒音トラブルは多いのか?
「分譲マンションは防音性能が高い」という誤解
賃貸用マンションでも分譲マンションでも、共同住宅なので当然騒音トラブルはあります。
「分譲マンションなら音はほとんど響かないだろう」と安心しきっている人も多いのでは?
築年数がたっている古いマンションは遮音性能が低く、ビックリするぐらい響く。
遮音性能が高い新築マンションといっても、足音などの重量床衝撃音はやっぱり聞こえる。
二重床・二重天井だろうが、遮音等級がいくつだろうが、関係ありません。
どれだけ高いお金を出して最新のマンションを買っても、騒音がなくなることはないんです。
リモートワークに伴いトラブル増加
最近、騒音トラブルを助長しているのが「リモートワーク」や「リモート授業」です。
これのせいで、家にいる時間が増えています。
在宅時間が増えると、これまで気にならなかった生活音も当然気になりだしてきます。
実際、総務省の公害苦情調査(2016年~2020年)を見ても、リモートワークが定着した2020年から住民に対する騒音苦情件数が一気に増加しています。
日本の人口が減っていっているのに騒音は増えているという異常事態。
相手に苦情の手紙を出す
騒音トラブルが住民の生活音だとわかると、マンション管理会社は「生活騒音配慮のお願い」のような掲示をしてくれたりする。
これだけで生活騒音がなくなればラッキーだから、絶対に依頼しましょう。
でも、残念ながら掲示だけで騒音がなくなるケースのほうがマレです。
生活マナーに無頓着な人は、そうした掲示を見ることがないし、自分のことだと気づかない。
管理会社に相談してダメなら、次は相手にクレームの手紙を書きましょう。
苦情の手紙って効果あるの?
事実として、上手な手紙を書けば、それだけで相手が謝罪に来ることさえあります。
逆に、下手な手紙を書いたりすると、相手が逆ギレでやってきます。
成功するもしないも手紙の書き方次第でしょう。
話し合いが無理なら司法的解決
手紙のやり取りや話し合いでも騒音が解決しない。
それなら司法的な解決へ進むことになります。
要するに、警察や行政に相談したり、裁判に持っていったりしますが、おススメはできません。
裁判の証拠集め
相手の迷惑行為を法令違反や犯罪行為として訴えるためには、証拠が重要になります。
- 騒音計で測定し、環境基準を超えたという証拠を取る。
- 怒鳴り声も録音して、脅迫罪・暴行罪で起訴する準備をする。
- 時系列で起きたことはすべてメモする。
不正確な証拠は、裁判で証拠として認められないので注意が必要です。
裁判のお金と時間
話が通じない相手なら、もう司法的な方向へ持っていくしかないけど、本当にやってられないくらい面倒な作業です。
お金もかかります。
裁判費用も自己負担です。
裁判は年単位でかかります。
裁判で勝てる保証もなく、その騒音が「受忍限度の範囲内」とみなされたら敗訴です。
そんな覚悟がある人だけ、裁判をやってください。
騒音住民を分譲マンションから引っ越させることはできる?
分譲マンションには、「マンションを購入した区分所有者」と「賃貸契約の住人」がいます。
迷惑な住民を強制退去できるんでしょうか?
騒音主が区分所有者のとき
自分で購入したマンションだから、生活マナーが良かろうが悪かろうが、マンションには居座り続けます。
当然、勝手に追い出すなんてことはできません。
過去の裁判では、「分譲マンションで迷惑行為を続ける住戸が競売にかけられ、強制退去になった」という事例があります(東京地判 平成17年9月13日判決)。
その住民はこんな様子でした。
- 異常な叫び声や騒音
- 他の住民への暴言
- 点検業者の立ち入りを拒否
他の住民にイライラするくらいなら分かるけど、ガスとかの点検業者にまでいらだってるとは・・・。
マンション管理上も問題があるので、このレベルに達すると強制退去させられます。
つまり、普通の騒音トラブルくらいでは強制退去命令を出せない、ってことです。
騒音主が賃貸契約のとき
賃貸契約なら、大家に文句を言えば住人を強制退去させられるんじゃないの?
賃貸マンションでも、相当に悪質なケースなら強制退去はできます。
- 生活マナーの改善を何度も求めても一向に変えようとしない
- 多数の住民から苦情が来ている
- 騒音以外にも家賃滞納や暴言などがある
ただし、賃貸借契約はマンションの借主を手厚く保護しています。
仮に、まっとうな理由で、大家のほうから賃貸契約を解除するなったときも、最低6か月の猶予は必要になる(借地借家法27条)。
つまり、どれだけ借主の生活態度が悪くても、大家は「6か月以内に引っ越せ」としか言えません。
賃貸でも、ちょっとした騒音トラブルぐらいじゃ、マンションに居座り続けることになるでしょう。
嫌な世の中です。
自分から引っ越すという案
騒音主と話が通じないなら、我慢して生活するか、引っ越すしかない。
これが現実解でしょう。
「住宅ローン」だとか「引っ越し先」とかで不安になるのは仕方ありません。
でも大丈夫です。
自分は騒音トラブルのあった分譲マンションを売却してローンを完済し、一戸建てへ無事に引っ越しできました。
まとめ
以上、分譲マンションでの騒音トラブルの解決方法を解説しました。
騒音トラブルは「自分で絶対に解決してやる」という意気込みが大事です。
管理会社から上手に情報を聞き出して、建物の問題か、個人の問題かをキチンと区別しましょう。
個人の問題なら、手紙や話し合いで民事的解決を目指す。
これで行きましょう。